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Board 日本語 (Japanese)
Re: 日本語 (Japanese)
by
TKNG
on 30/11/2017, 03:43:11 UTC
仮想通貨の税金関係の続きです。
「仮想通貨の課税関係について」です。
なお、これから書く内容は、実際の税額をする上で、重要になってくると思われますが、何しろ不明な点が多いので、申告においては、税務署に確認などをしながら、必ず、各人の責任で行ってください。
投稿者は、個人的な意見を書くだけであって、何ら申告によって生じたことについて責任は負いません。



まずは、国税庁のホームページより、今のところ唯一ビットコインの課税関係の見解として公表されている、タックスアンサーを見てみましょう。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm

No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

[平成29年4月1日現在法令等]

 ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

 このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

(所法27、35、36)


これは、素直に読めば、例えばAさんが、平成29年1月1日に1BTCを10万円で購入して、平成29年11月29日にその1BTCを120万円で売却したという場合は、
   120万円(収入金額)-10万円(取得金額)=110万円(所得金額)
として、計算しますよということを意味しています。

また、所得税は、所得の種類が10種類(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得)に分けて税額の計算を行いますが、ビットコインによる損益は原則として「雑所得」となるということを意味しています。
このタックスアンサーには、ビットコインを使用することによる損益と書いてあるので、単純にビットコインを売却したとき以外にも、
① アルトコインをビットコインで売買したとき
② 物の購入やサービスの対価としてビットコインで支払ったとき
も課税関係が生じるものと考えられます。

①については、ビットコインとアルトコイン間の取引をしていて、円に転換しなければ課税関係が生じない(所得が円で現実に発生していないから)という考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、

所得税法第36条第1項では、
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他の経済的な利益の価額)とする。

とされているところ、円に実際に交換していなくても、ビットコインとアルトコイン間の取引をすることにより、経済的な利益が発生していれば、収入金額として計上しなければならない、と税務当局としては考えていると思われます。
ところで、タックスアンサーの内容について検討すると、明確にされていない論点が複数あります。
例えば、

① ビットコインの課税関係についての内容であるため、仮想通貨全般についてこれを当てはめてよいのか厳密には不明
② 税務当局として、仮想通貨として、具体的にどのようなものが該当するのか考えているのか不明
③ 各取引において、円に評価して計算する必要があるが、仮想通貨は取引所毎にレートが異なり、また、365日24時間価格が変動するため、どのように円換算する 
 のか不明
④ ビットコインを複数回取引する場合において、どのような取得価額の算出方法(評価方法として、総平均法や先入先出法などが考えられる)が妥当なのか不明

ということが挙げあれます。
まあ、この当たりは、仮想通貨の税制が整っていないため、税務当局としても見解を明らかにすることが難しいのではないかと推測されます。
したがって、このような不明な点は、各自で税務署に確認した上で、税額の計算をすることを強くお勧めします。
仮に、税務署から「現状ではタックスアンサーに書いてあること以上は、答えられない(わかならい)」との回答があれば、それを既述した方法で、きちんと記録した上で、各自の見解で、何らかの合理的な方法で計算して、申告すればいいだけの話です。
税制上、具体的なことが定められていないので、別に税務署に質問をせずに独自の見解で申告すること自体は、全く問題はありません。ただし、将来的に調査に入られる可能性に備えると、一度税務署に確認した上で申告することが、税金のリスクを軽減する上で大事になってくるのではないでしょうか。

・・・ということを書き込ませていただいた上で、個人的な意見を続けます。
①と②はちょっと、これ以上は論じようがないので置いておいて、③と④について考えます。

③については、どのように円換算するかについてですが、これは何かしらの合理的な方法で円換算する必要があるとしか書けませんね。
なぜかというと、法律上、具体的な換算方法が規定されていないからです。
例えば、外貨建取引では所得税法第57条の3や所得税基本通達第4款の2において、円換算の方法が規定されていますが、仮想通貨の円換算方法の規定は、現状ではありません。

合理的な計算方法としては、
① 取引をした時点のレートをコツコツ調べて、円換算する
② その日の最高値と最安値の平均を基に算出する
③ ①と②の計算において、任意の取引所のレートを利用するにしても、なぜその取引所のレートを利用したのかという合理的に説明できるものを利用する
などが、考えれます。
④については、どのように取得価額を評価するということですが、為替差益の評価方法について争った、平成28年6月2日裁決
http://www.kfs.go.jp/service/JP/103/07/index.html
が参考になるのではないかと思います。
(裁決とは、ざっくりいうと納税者が税務当局の処分について、国税不服審所において争ったときの国税不服審判所の見解です。)

この裁決によると、外貨の取得価額の算出方法について総平均法が合意的であるという判断をしています。
仮想通貨の取得の算出方法についての判断ではありませんが、これに準じて総平均法を用いて計算することは、とりあえず、無難なのかと思います。
しかし、上述した方法はいずれも、計算が非常に大変になる可能性が高いです。
手っ取り早く、所得の計算をしたいという場合は、すべての仮想通貨を年末あたりに一度、円に換金する方法もありですね(投資判断もあるでしょうが・・)。
その場合、
 仮想通貨を円に換金後の金額-仮想通貨への投入金額=所得金額
となります。
 この場合、申告書に書く厳密な意味での「収入金額」までは、わからないのでご注意してください。あくまでも、「所得金額」は簡単に計算できるようになります。


 12/1 <追記> 国税庁の仮想通貨の計算で具体的な計算の見解がでました。
    https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf
    是非、ご確認ください。